賠償を理由

「何か問題あるの(笑)? だって、それはしっかりとゲームプランができている証拠だからね。あの場面、4点差でランナーが一人でしょ。中島にはホームランを打たれてもいいんだから、三球勝負は不思議でもなんでもない。むしろその後の中村に初球、フォークを投げたのが、試合の前半から抜けていたボールを投げなくても、という気持ちになったかな。僕自身の反省としては、中島の前の原にヒットを打たれたとき、中島にはヒットでつながれるよりはホームランを打たれたほうがいいんだから、真っ向勝負で思い切っていこうというこっちのゲームプランをきちんと伝えておけばよかったというのはあるかな」

 結局、三球勝負は裏目に出て、中島にはやや外寄りの高めに浮いたストレートをレフト前に運ばれ、ヒットでつながれた。そして、4番の中村に初球のフォークをレフトスタンドに運ばれてしまい、未知の8回、斎藤は3点を奪われてマウンドを降りたのである。鶴岡は言った。

「ホームランは力負け。その前の中島に打たれたのは、外に外すつもりだったのに、もったいない……」

 それでも、ファイターズが誇る盤石のリリーフ陣と鉄壁のディフェンスが、1点のリードを守り切って5勝目をマークした斎藤は、試合後、こう言っている。

「(中村のホームランは)ホームランが一番イヤだという中でのホームランだったので、完全な失投、プラス実力不足が感じられたかな。(吉井コーチに)行けるか、と訊かれて、行けますって……そしたら、行けなかった(苦笑)。ある意味、5勝というものを一つの目安としていたので、ここまで来られたことは嬉しいです。チームも首位争いをしていますし、自分もローテーションを守って6勝、7勝と積み上げていかないといけない状況だと思ってます」

 12試合に先発して、5勝2敗。防御率は2.74。その数字以上に、斎藤が8月につかんだ手応えは確かなものだった。

 試合の中の勝負どころで、プロのトップレベルのバッターに対して、待たれているとわかっていても、ストレートをストライクゾーンに投げ込めるかどうか──。

26日に成立した2法と、8月初めに成立した原子力損害賠償支援機構法は、大変な負の置き土産と言わざるを得ない。財政赤字の垂れ流しと電気料金の引き上げに拍車をかけて、将来に大きな禍根を残すことは確実だ。

 第1弾として、福島第1原子力発電所の賠償を理由に、東京電力が近く本格的な値上げを表明する見通し。遠からず、再生可能エネルギー振興のための電気料金の引き上げと、日本政府に対する信用不安が追い打ちをかけることも予想される。