成功は異常なことなのだ

また、イトカワの岩石サンプルの一部からは、高速の衝撃を受けて部分的に溶けた形跡が見つかっている。おそらく、“親”の小惑星を粉々にした天体衝突が原因だと考えられる。

 中村氏は、「一部の微粒子に衝撃の影響で溶けた部分があり、非常に短い時間だが摂氏1000度を超える温度にさらされていたことがわかった」と述べる。

 天体衝突の時期はまだ不明だが、早急に特定したいという。「衝突した天体の種類についても詳細はわかっていないが、かなりの確率で別の小惑星だと考えられる」。

 この発見自体にそれほど驚きはないかもしれない。既存の研究でも、太陽系に散らばる固い岩石小惑星の多くが、大きな天体の衝突や分離によって生じた破片で構成されていることが示されている。

プロ野球の世界で3割3分3厘打てば、首位打者になれます。しかし、安定してこの打率をキープすることは非常に難しいもの。例えば、調子が良い試合で5打数5安打の好成績を残したとします。するとバッターは、この調子で打ち続けて打率を上げようと思ってしまいます。今日できたことは明日もできると勘違いしてしまうのです。この考えにとらわれてしまうと、ボール球にも手を出すようになり、自分のフォームを崩してしまいます。結果的には打率が下がってしまうでしょう。

 仕事もこれと同じだと見城氏はいいます。「あるプロジェクトが、予想を大きく上回る成功をおさめたとしよう。仕掛けた本人は当然気分がいい。この成功は、自分の実力がもたらしたものだと考え、次のプロジェクトでも成功を狙う。これまでの自分のやり方を忘れ、不慣れな方法で事に臨む」

「成功は異常なことなのだ。異常を異常と思わなければ、ついには身を滅ぼしてしまう。勝った時こそ冷静になり、ここには次の負けの招く要因が潜んでいると思わなければならない。成功体験は成功した瞬間に捨て去るのが、一番美しい。成功は一通過点であり、すぐゼロに戻すのが健全なのだ。ベンチャービジネスなどで、一時は羽振りが良かったのに凋落する人の多くは、たいてい大勝ちによって自分のフォームが狂った人だ。勝負は、勝つ時もあれば負ける時もある。5打数5安打を続けられることなど、ありえない」