暑熱順化

清水に比べてサッカーの街としてのアイデンティティーはちょっと弱い。それはまず高校に強豪校がなかったことなんです。良い選手はみんな帝京や桐蔭へ流出していった。それでトップチームを持つ流れになりづらかった。

 でもだからこそ、今ゼルビアを育んでおられるみなさんの夢は必然でもあるんです。そこをなんとか具現化できたらという思いはありますよね。町田市の方にも理解をしていただき、J2基準ですが、Jリーグに見合ったメインスタンドの増築の基本計画はこの3月、議会で通していただけました。

 今800人弱のメインスタンド2階建てを5階建てまで増築して、2400人の大きな舞台に直す方向で行政も動いてくれていますので、そういう意味では大きな前進になったと思います。僕らは身の丈に合った箱の中で、きっちりそれを満員にしていくような魅力あるクラブにしていくことが、次の課題だと思います」

GMになられてから、ものすごく監督にプライオリティを置いてチーム構成をされてこられた、このへんをお伺いできればと思うのですが。

唐井「やはり今まで申し上げたような街のあり方から言うと、育成型のクラブでいくしかないと。大きな企業がきて、お金でバンバン選手を買って、チーム強化するというよりは、少年サッカーの街という歴史も生かしたうえで、自己表現していかざるを得ない。

 やはり、そこにはまず指導者だという思いがありますから、若手を鍛えて育てることができ、なおかつ結果を出せるような指導者。そこに人が集まってきて、あそこへ行ってうまくなりたいとか、あそこで鍛えられるというようなことになったときに、良いサイクルになってきます。発信力といいますか。

熱中症対策として、今すぐ始めたいのが暑さに体を慣らす「暑熱順化(しょねつじゅんか)」だ。暑熱順化とは、夏の暑さに耐えられる体になること。「かつては誰でも梅雨の間に暑さにさらされ順化したが、冷房のある環境で過ごす人が増えた今は積極的に順化するための対策が必要」と星教授。梅雨明けまでに順化しておけば、熱中症にかかるリスクをぐんと下げられる。

 暑熱順化で変わるのはまず汗のかき方だ。「順化すると汗腺の働きが良くなり、汗とともに出るナトリウムの量が減る。その結果、体液バランスが崩れにくくなる」と星教授。

 実際、星教授らが行った研究で、暑さに慣れていない冬場と、慣れている夏場では、同じ運動をしても汗に含まれるナトリウムの量に差があることが確かめられている(下グラフ)。

 さらに「暑熱順化すると、体温の上昇を察知して汗をかき始めるタイミングが早くなる。体液量が増えて水分喪失に対する予備力が高くなる側面もある」と奈良女子大学生活環境学部の鷹股亮教授は話す。順化した人は発汗後の水分補給で体液量を回復しやすいことも、鷹股教授らの研究で明らかになっている。