危険地域の測定

事故から1週間も経たないうちに福島へ派遣された時は「危険地域の測定に期待」とメディアの注目を集めたが、その後の消息が報じられていないのだ。一体、どこで何をしているのか。

「いまは福島のJヴィレッジで待機中です」と言うのは同センターの運営企画室担当者。ではいつ動き出すのかと聞けば、「東電さんに確認したところ、建屋の周囲にがれきが散乱している状況で、なかなか近づけないようです」と言う。

 キャタピラ搭載で悪路難所を走行できるのが売りだったが、想定外のがれきの山だったということか。念のために東電にも確認してみると、しかし、別の答えが返ってきた。

「モニロボはかなり重量があるので、原発から引いたケーブルを切断してしまう恐れがあり、走行させられません」(広報担当者)

 要は役に立たない代物ということ。開発に注がれた約1億円の血税はドブへ消えたというわけだ。

 ちなみに文科省は過去に原発事故用情報収集ロボ「RaBOT」「RESQ」なるものも開発している。いまどうしているのか聞くと、「RaBOTは開発から10年以上経過し、耐用年数を過ぎたため廃棄した」(文科省原子力課)という始末。

解析は、地震発生(3月11日午後2時46分)と同時に原子炉は停止したが、約45分後の津波到達により非常用復水系の機能が喪失した、との仮定に基づいて行われた。解析結果によると、地震発生から4時間半後の午後7時半ごろには、圧力容器内の水位は燃料の最下部以下まで下がり、燃料は完全に露出した。水位が燃料の最上部より下になった午後6時ごろから燃料の温度は上昇し始めて急速に燃料が溶ける温度に達し、地震発生の16時間後、3月12日午前6時50分ごろには、大部分の燃料が原子炉圧力容器底部に落下したという。

 解析結果では、燃料溶融によって圧力容器も損傷しているという結果になった。圧力容器から冷却水が漏出していることも明らかだが、圧力容器周りの温度測定値などから、損傷は限定的だと東京電力は言っている。

 圧力容器底部に落下した燃料の大半は現在、水中にあるが、一部は水面上に露出しているとみられる。ただし、圧力容器の温度が摂氏100〜120度で落ち着いていることから、炉心は安定的に冷却されているとしている。

 政府・東電統合対策室事務局長の細野豪志首相補佐官は15日午前、NHKの報道番組で「1号機よりむしろ圧力容器の温度が下がっていない3号機の方が心配だ」と語っている。東京電力は、2、3号機についても今後1号機と同様の解析を行うと言っている。

 福島第一原子力発電所の炉心状態については、既にスティーブン・チュー米エネルギー長官が「間違いなくメルトダウン(炉心溶融)が起きている」とニューヨーク・タイムズ紙に語っていたことを、4月5日に日本記者クラブで講演したNPO法人環境エネルギー政策研究所長、飯田哲也氏が紹介している。しかし、東京電力は、1号機の燃料の約55%が損傷していることは認めていた(4月27日発表)ものの、炉心の詳しい状態は明らかにしていなかった。