ジャージ人生

20日に全面新築し、9階建ての“癒しのビル”としてグランドオープンした「東京・湯河原温泉 万葉の湯」。3つの岩盤浴ルームを設けた「心石庵」には、トルマリンを使用したサウナが入っているので、美しくなりたい人は要チェックだ。実は、電気石とも呼ばれるこのトルマリンは、地球上に存在する鉱物の中で唯一、永久に微弱電流を発生させ、美肌&疲労回復に作用をもたらすとか。森林浴をイメージした緑の照明の中、リラックスして汗を流しちゃおう。

もともと市川は、岡崎城西高3年時の2008年インターハイで、100m7位、200mでも4位に入賞している。しかし、当時はさほど注目されることはなかった。なにしろ、2学年上には福島千里をはじめ、高橋萌木子など粒揃いの選手がズラリ。さらに1学年下にも、市川以上の好記録を出す面々が数多く控え、市川らの世代はいわば“谷間の世代”的な雰囲気があったからだ。

「本当は、みんなでワイワイやるバスケットボールのほうが好きだったんですけど、お母さんの『個人種目のほうがいいんじゃない』という勧めもあって、中学に入ってから陸上を始めたんです。でも、最初の頃は自分で見るのも嫌になるくらいにフォームも汚くて……。レースでもよく転んでいたんです。それが、3年の時に顧問の先生が変わって、陸上の“動き”というものを教えてもらったら、東海大会の200mで入賞したんです。もう、ビックリしましたね」

 高校でも、1、2年のときはケガで走ることは少なかったが、2年の終わりに顧問の先生が変わると、インターハイで入賞するほどタイムが一気に伸びた。

「そうしたら、中京大の青戸慎司コーチから(陸上部への入部を)誘っていただきました。大学に入ってからは、青戸コーチにウエイトトレーニングやランニングフォームのことをイチから教えてもらって、鍛え直すところから始まりました。けれでも、高校の最後の頃にやった跳躍の軸を鍛えるトレーニングがそこで生かされました。走ることにしっかりつながっていて、役に立つことばかりだったんだな、と改めて実感しましたね」

 メキメキと力をつけた市川は、1年時の目標とした日本選手権(6月)での入賞(8位)も難なく達成してしまった。だが、彼女の集中力はそこで途切れてしまう。秋以降は満足な結果を残せず、9月のインカレ(日本学生対校選手権)ではついに100m、200mとも準決勝で姿を消すという屈辱を味わった。

 そんな彼女を救ったのは、同じ東海地区で同学年のライバル、今井沙緒里の存在だった。高校時代の実績では今井のほうが上だったものの、大学入学後は互角の勝負を演じていた。市川が8位に入賞した日本選手権200mで、今井は7位だった。

世界も視野に入ってきた今季、冬の練習では初めて福島と同じようなスピード練習にも取り組んだ。世界陸上の4×100mリレーのメンバーに入りたいという目標があったからだ。その成果が今春の自己新連発につながっている。

 それでも、100m〜400mまでを走る選手になりたいという彼女の思いは変わらない。そのうちのどれが速くなっても、それが他の種目にも波及し、強いランナーになれると思うからだ。

「自分の性格を分析すると、自由気ままに生きているから、多分わがままなんでしょうね。本当は、高校を卒業するときも美容学校へ行こうか悩んだんです。髪の毛とか細かいものをいじるのが好きだから。まあでも『キャンパスライフを送るのもいいかな』と思って大学を選んだんですけど、そうしたら陸上ライフ一色になっちゃって……。ジャージしか着ないジャージ人生ですよ」