窒素を充満させ

1〜3号機では核燃料棒の損傷で発生した水素や、強い放射線で水が分解してできた酸素が格納容器内にたまり、濃度が高まった場合、爆発する危険があるとみられている。東電は約6日間かけて窒素を約6000立方メートル注入し、格納容器内の気圧を約1気圧上げて約2.5気圧にする予定。

 また、東電は7日、2号機で高濃度の放射性物質が見つかったトレンチ(トンネル)の水位が7日午前7時までの24時間で約5センチ上昇したと発表。「他に流出経路はなく、止水の効果が出た」と説明している。

 一方、東電は2号機取水口付近で採取した海水から法令限度の約14万倍の放射性ヨウ素が検出されたと発表した。止水前に最大だった約750万倍から低下したが、東電は「濃度の低下と止水成功の因果関係は不明」と慎重な立場だ。

福島第1原発事故で、東京電力は7日、1号機の原子炉格納容器内への窒素ガス注入作業を続けた。窒素を充満させ、爆発の恐れがある水素と酸素を容器内から追い出すのが狙い。格納容器内の圧力は小幅上昇したが、比較的安定。1号機への注入は6日程度かかる見込みで、2、3号機でも実施する。

 東電は、核燃料棒の損傷割合について、同容器内の放射線量の値から1号機70%、2号機30%、3号機25%と推定。窒素注入で爆発リスクが軽減される一方、容器内の高濃度放射能を含む空気が外部に押し出される恐れもあるため、東電は容器内の圧力などを慎重に観察する。
 1号機は東日本大震災翌日の3月12日、原子炉建屋で爆発が発生。燃料棒を包む被覆管ジルコニウムと水蒸気が反応して水素が生じ、酸素と反応して爆発したとみられる。
 1号機ではその後、原子炉を冷却するため注水が続いている。この水が分解されて水素と酸素が発生、爆発の危険性が増していた。東電は6日夜、窒素ガス約6000立方メートルを格納容器に注入する準備を開始。7日午前1時半すぎから注入を始めた。

 一方、高濃度放射能を含む汚染水の流出が止まった2号機取水口付近の立て坑「ピット」の周辺も引き続き監視。外部への再流出は確認されていないが、原子炉から漏れた汚染水が通ってきた海水配管トンネルの立て坑の水位が7日午前7時までの24時間で5センチ上昇し、地表の下99センチとなった。ピットから海への流出を止めた影響と考えられ、東電は監視カメラなどで警戒を続けている。