高濃度の放射線

「おはようございます。まず私から何点か申しあげる。本日の閣議の概要について申しあげる。一般案件5件と、法律の公布、政令と人事が決定された。大臣発言として総務大臣から国家公務員法第106条の25の第1項に基づく報告について。財務相農林水産相国土交通相から独立行政法人の長の人事について、文部科学相から独立行政法人および国立大学法人などの長の人事について発言があった。

 次に本日の閣議において決定された内閣府の人事案件について報告をする。3月31日付で迎賓館長、小林秀明が退官し、後任に4月1日付で元特命全権大使オランダ国駐さつ、渋谷実をあてることとした。それからもう一つ、人事案件だが、原子力発電所事故への対応などについて、首相に対して情報提供や助言を行っていただくため、本日付で多摩大学大学院教授の田坂広志氏を内閣官房参与に任命し、先ほど首相より辞令を交付した。田坂氏は原子力工学の分野において、優れた識見を有しておられることから、安全対策などに関して助言などをいただくこととしている。私からは以上です」

【質疑】

 −−福島第一原発で微量のプルトニウムが検出された。その危険性と、敷地外へ拡散する可能性は

東京電力の報告によれば、土壌5検体、5カ所からとったものについて、プルトニウムが確認された。検出されたプルトニウムの濃度は環境中に存在するホールアウト、大気圏内核実験による放射性投下物の影響と思われるレベルと同程度。濃度は同程度である。

ただし、そのプルトニウムの種類が、ホールアウトと異なるものが入っている。そういう濃度比率になっているということであるので、今回の事故の影響が考えられるということだ。

 したがって、引き続き、事故の影響によって高い濃度のプルトニウムが検出されるということになると、これは対応が必要なので引き続き、継続的にモニタリングを続けていくということだ」

 −−プルトニウムについても広範囲でモニタリングするのか

「専門家の皆さんの助言をいただきながら進めなければいけないというふうに思っているが、ここまでのところは、プルトニウムは相対的に重いということですので、周辺地域のモニタリングをしっかりと行っていくことで、広範な地域でのモニタリングでの必要性についての一定の判断はできるという種類の説明は受けている。

 実際に濃度としては高いものではないが、原発に由来するプルトニウムがでていると考えられる状況なので、さらに、専門家の皆さんに助言をあおいで、どうした地域でモニタリングを行うべきかということは常にチェックをしてまいりたいと思っている」

 −−原子力安全委員会の班目春樹委員長は高濃度の放射線を含む水の処理をめぐり、「どう処理すべきか、知識を持ち合わせていない」と発言した。手詰まりではないのか

 「原子力安全委員会の先生方も、原子力関連の専門家といってもそれぞれ分野があるわけで、班目委員長のご専門はそういった分野ではないというふうに思っているので、委員長としてのご認識ではないかと。個人としての。今、安全委員会の助言もいただきながら、原子力安全・保安院と東電を中心に出てきている水をどうやって安全に排出をするか、そしてそれをキープするか、確保するかについてはさまざまな検討作業を行っていただいている。現時点で『こういうやり方をします』と、確定的なことをご報告を申し上げる段階ではないが、さまざまな検討、手段についての精査が行われている状況であるというのが現状だ」

 −−注水と排水のバランスをとるのは難しい

「まず、注水については原子炉、あるいは燃料棒の温度が高熱になって空だきになることは避けなければならないということで、この冷却は優先して進めていかざるをえないだろうというふうに思っている。

 一方において、水については、できるだけそういう状況ですので、できるだけ早いほうがいいということで、作業を進めて検討と作業を進めていただいているという状況。本当に可能な限り、早くというのが今、確認している状況だ」

 −−注水をやめることはないのか

「少なくとも、両方の状況をみながら、注水のほうも、必要があればやらざるをえないだろうというふうに見ている」

 −−やらざるをえないということか

「やらざるをえない。つまり、注水をやめることは、そのことによって燃料棒が高熱になる、空だきのような状況になる。これは全体の状況からみれば優先的に阻止しなければならない状況だろうというふうにみている。ただ、できるだけ注水量を少ない中で燃料棒の温度が上がらない状況をキープすると。このための努力は進めていっていただいている。ただ、抜本的には水を抜いていくということをできるだけ早く詰めなければならない状況だというのは間違ないことだと思う」

 −−プルトニウムが検出されたことは、原子炉内の燃料棒の損傷が進んでいることになるのではないか

「核燃料に由来すると思われる濃度比率のものが検出されているわけなので、燃料棒から出ている可能性は高いというか、ほぼ間違いないだろう状況だ。これは、周辺のたまり水の濃度が高いこととあわせて、燃料棒が一定程度溶融したと思われる、ということを裏付けるものであると。このこと自体は深刻な事態であるが、そのことによる周辺部への影響をいかに阻止し、収束させるかということに今、全力を挙げている状況だ」