汚染水

深刻な状況が続く福島第1原発福島県大熊町双葉町)で、東京電力は1日、1〜3号機のタービン建屋地下にある放射性物質に汚染された水の排水先を確保する作業を続けた。同建屋には原子炉や使用済み核燃料プールの本来の冷却装置を復旧させる上で重要な機器がある。電気機器やポンプの点検、修理などを行うには排水が必要で、原子炉などの安定化の遅れが懸念される。

 同建屋地下の汚染水は特に2号機で放射性ヨウ素131などの濃度が高いが、2号機の同地下から海岸に延びる配管トンネルや立て坑内の汚染水も比較的濃度が高いことが3月31日に判明した。各号機の建屋周囲の地下水からも放射性物質を検出。東電は損傷した燃料棒から出た核分裂生成物が敷地内に放出され、雨などで地下に染み込んでいる可能性が高いとみている。


 1〜4号機放水口付近で採取された海水からは高濃度のヨウ素131の検出が続いており、汚染された地下水が流出している可能性もある。東電は建屋地下のほか、配管トンネルにつながる立て坑の排水も急ぐ方針。1号機の立て坑では低濃度の汚染水があふれる恐れがあったため、31日に一部を廃棄物貯槽に移した。


 3号機のタービン建屋地下では、復水貯蔵タンクの水を原子炉圧力抑制室用の水タンクに移し終え、1、2号機でも同様の移送作業が続けられた。今後、発電タービンを回した蒸気を水に戻す「復水器」の水を復水貯蔵タンクに移してから、汚染水を復水器に回収する見通し。 

政府が、東日本大震災で被災した東京電力の電力供給力不足に対応するため、政令で最大消費電力に限度を設ける「使用制限」措置を発動する方針を決めたことが29日、明らかになった。電力需要のピークを迎える7〜8月に工場やオフィスなど大口需要者を対象に実施する。


 放射能漏れ事故につながった福島第1原発をはじめ、東電の太平洋岸の発電所は軒並み被災。休止中の火力発電所の再運転や新設を急いでも、夏のピーク時の需要5500万〜6000万キロワットの予測に対し、確保できる供給力は4650万キロワットにとどまる見通しとなっている。
 政府は、現行の計画停電の運用拡大も検討したが、毎日変更される停電地域・時刻に工場の操業が左右されるなど弊害が大きい。電気事業法に基づく使用制限を発動し、最大消費電力に上限を設ける一方で、電力を終日供給するのが次善の策と判断した。