増税シフト

誠治が正社員になって1年。武家が新しい生活を穏やかに過ごしていたある日、母・寿美子(浅野温子)の兄・久志(国広富之)が訪ねてくる。居合わせた誠治と姉の亜矢子(井川遥)は、両親が寿美子の家族の反対を押し切って結婚したことを知る。一方、和歌山に研修に行った真奈美が1週間だけ東京に戻ってくることになり、誠治は久々に真奈美と再会する。そんな中、真奈美は再婚した母・小百合(風吹ジュン)が離婚したことを知り、誠治を連れて実家に戻る。だが、小百合から結婚の意志を聞かれた真奈美は、「誰とも結婚しない」と言い放ち、誠治はショックを受ける。


 それに、首相秘書官人事も財務省主導だった。菅政権の時には厚労省の山崎史郎氏の入省年次が一番高かった。一般社会では入省年次なんてたいしたことないように思うが、役人社会では年功序列なので入省年次は重要だ。私が総理補佐官補として官邸にいたときにも、座席表には名前とともに、入省名と入省年次がしっかり書き込まれていた。

 いずれにしても、首相秘書官で年次が高い人が全体を取り仕切る慣行がある。これまで、菅政権と麻生政権を除いて財務省からの秘書官の入省年次が最も高かった。今回の秘書官人事では、厚労省の入省年次を下げ、財務省内エース級で主計局次長だった太田充氏を官邸に出して、この「入省年次逆転」を「正常化」した。

 なお、財務省は省内人事で「増税シフト」敷き、省を上げてのサポート体制になっている。内閣官房(官邸)に出向させていた税務畑エースの佐藤慎一氏を呼び戻し、省内司令塔の総務審議官とした。また、国会対策が中心で財務省トップエリートへの登竜門である文書課長であった星野次彦氏を主税局審議官とし、公共担当主計官であった井上裕之氏を異例の主税局税制一課長(基幹税を担当)にした。

 政治的に見れば、以上のような、野田政権の重量級党人事、それと閣僚は軽量級だが財務省の充実した政府人事は、かなり巧妙だ。それなりに安定感がある。


民主党内には増税に反対する者が多い。先の代表戦でも、海江田万里馬淵澄夫氏は増税に反対する立場で、政府内にも入っていない。前原政調会長増税に反対していた。

 となると、党内からは、税外収入と歳出カットを増やす案が出てくる。その中で、有力なのは、今年度予算ですでに決まっている日銀引受枠30兆円のうちまだ未使用の18兆円である(詳しくは5月30日付けの本コラム参照)。

 この話は、震災直後から本コラムで何回も指摘したら、その後国会でも質問が出て、当時の野田財務相がその事実を知らなかったことでも有名だ。いささか脱線するが、野田氏の側近政治家によれば、野田氏はその事実の指摘にとても困ったと漏らしていたようだ。

 代表戦に出馬した政治家の間でも知られていることなので、民主党内の政調プロセスでも必ずできるはずだ。この18兆円の日銀引受で、基幹税増税は吹っ飛ぶ。