太陽エネルギーの潜在能力

日本は現在、インフラの修復を急ぎ、液化天然ガスLNG)の輸入を増やしている。それでも問題は深刻化する可能性があるとIEAは警告している。地震前は電力の3分の1を賄っていた原子力が政治的な逆風にさらされているためだ。

 菅直人首相は長期的な計画として、再生可能エネルギーの推進を示唆している。2020年までに1000万世帯の電力を太陽光発電で賄うという新たな目標を掲げ、これまで進めてきた原子力発電の拡大計画を見直そうとしている。

 しかし、うだるような暑さの今年7、8月、化石燃料資源を持たない日本は試練に直面する。この2カ月は冷房による電力需要が急増するためだ。

原発反対派は福島第一事故をきっかけに、代替エネルギーの急速な拡大を推し進めている。日本には200近くの火山と約2万8000の温泉がある。原発反対派の主張によると、この豊かな地熱資源は8000万キロワットを超える発電能力を秘めており、電力需要の半分を満たすことができるという。

 また、2009年に「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌で発表された研究によれば、陸上で得られる風力エネルギーをすべて利用すれば、同じく需要の半分を賄える。

 一方、政府は積極的に太陽エネルギーの潜在能力を引き出そうとしている。2010年のソーラー発電量は350万キロワットだったが、屋根に設置するソーラーパネルを中心にして2030年までに5300万キロワットまで増やす目標を設定している。実現すれば、「2020年までに1000万世帯の電力を賄う」という菅首相の目標を達成し、2030年には1800万世帯に太陽光電力が供給されることになる。

 東京都の立教大学で財政学教授を務め、日本のエネルギー事情について研究するアンドリュー・デウィット氏は、「方法はいくらでもある」と話す。「理想論に聞こえるかもしれないが、日本では再生可能エネルギーの需要が存在しながら、これまで抑え込まれてきた。今後の1〜2年で、驚異的に拡大する可能性もある」。