壁の破損

4号機は3月15日に壁の一部が破損した。震災当時、原子炉内の工事で全燃料がプールに移されていたため、他号機より高い余熱で水素が発生、爆発したのが原因とみられている。プールには核燃料1331体を収めた約1400トンの水が入り、余熱で水温が90度まで上昇した。このため、コンクリート圧送車で冷却水を補給している。

 壁の破損は当初、建屋の表面のみとされていたが、後の調査でプールの重さを支える構造壁まで損傷が及んでいたことが判明。壁にかかる荷重を緩和し、耐震性を保つには、コンクリートでプールの底などを補強することが必要になっている。

 しかし、経済産業省原子力安全・保安院によると、16日から作業員が建屋に入って調査した結果、地下1階が浸水していることが分かった。使用済み燃料の一部が破損して放射性物質を含むプールの水が漏れるか、あふれた可能性があるという。4号機では、タービン建屋地下にも汚染水がたまっているが、より高濃度の2号機の汚染水処理が優先され、4号機の対策は未定という。

まず、その地域の大気中の放射線量を減らすために、3月の爆発時に降下したと思われる放射性物質を建築物の外面、あるいは道路や住宅地の表面から除去するということです。ヨウ素131の場合は8日で半減しますが、セシウム137は30年、ストロンチウム90は29年と半減期が長いので、効果的な除染が必要になるし、また除染しないと場所によっては「住めない」ということになります。したがって、同心円ではなく線量の問題で帰宅のできなかった地域への帰宅を進めるには除染が必要になるわけです。

 もう1つは土壌の入換えです。これについては、大きな作業になりコストも労力もかかるわけですが、線量の高い地域では、農産物の作付けを再開するためには必要です。

こちらも、とにかく「放出ストップ」が確認され、空気中の線量が減った時点で日程を決めて実行することになります。そのために、今からどのような順位でどのように実施するか、計画を立てなくてはなりません。

このプロセスを透明性をもって、また事実に基づいて冷静に進める中で、中長期の展望は開けてくるのだと思います。

また、その透明性・客観性が確保されることが、風評問題に対する最大の対策になると思います。特に安全基準を国際基準に合わせ、国際機関の協力やチェックを受けて安全性の確認を行うことは、県内外の不安感情に対する最大の対策になると思います。