“学びの秋”はすぐそこ!需要を見極める資格選択術

「何となく取った」が一番よくない資格の選び方

 あなたは資格をいくつ持っていますか? 本誌読者の平均は3.8個。「手に職をつけたくて」「スキルの証明に」。目的は様々だけれど、基本は、いつか仕事につなげたい、そんな気持ちで資格を選んでいた。ここでは、そんな仕事につながる資格の見つけ方を考えてみよう。

まず資格にはどんなものがあるのか基本を確認。資格は大きく分けて2種類ある。主に国が実施する国家資格と、公益法人NPO、スクールなどが実施する民間資格だ。

 国家資格は、医師、弁護士など、その業務を行うには資格が必須とされる業務独占資格や、中小企業診断士など、有資格者だけがその名称を名乗れる名称独占資格などがあり、資格が業務に直結しやすい。ただし「規制緩和の流れの中、国家資格の数はほとんど増えていません。資格はどんどん民間へというのが大きな動き」と資格コンサルタントの高島徹治さんは言う。

 これを受け、民間資格の数は増加中。「年間200以上もの新しい資格が生まれている」と話すのは、平成の資格王とも呼ばれる、中村一樹さんだ。「とはいえ、なかには受験者数が減ったりして、資格自体がなくなることもあります。毎年、50〜100くらいは消えているでしょう」

 需要があれば新しい資格が生まれるが、なくなれば消える。明暗を分けるのは、時代のニーズというわけだ。最近なら、知的財産への意識が高まり生まれた「知的財産検定」が1つの例。企業が社員に取得を推奨する動きもあって、国家資格化も予定するという。

 「どんなに難しい資格を取っても、社会や企業が求めていなければ生かせない。せっかく得た知識も、求人がなければ活用する場がないということ」(エン・ジャパン取締役・河合恩さん)。確かな資格を見極める力は必要なのだ。

 しかし、時代のニーズと自分の希望がマッチしないこともある。その時考えたいのが、資格の取り方。今回の取材で、資格に詳しい識者の多くがすすめたのが、合わせ技。「自分が進みたい分野の軸となる資格をまず1つ取る。それにプラスしてサブ資格を取る。それで他の人と差別化するんです」とキャリアカウンセラーのいぬかいはづきさん。軸となる資格はなるべく難易度の高いものを選んで。サブ資格は、新ジャンルの資格などでもいい。例えば介護福祉士にアロマコーディネーター資格をプラスすれば、アロマセラピーを施せる介護士として差別化できる。社会保険労務士メンタルヘルス・マネジメント検定試験を加えれば、心の健康管理に詳しい人事担当者となれる、という具合だ。一番よくないのは「何となく取った」というパターン。「資格は取るに至った経緯や、学んだ知識をどう業務に応用するか、人前で説明できるくらいでないと生かせないと思います」(中村さん)