文教地区

 学校や研究施設などが集中する千葉市美浜区の「幕張新都心文教地区」(約82ヘクタール)について、千葉市は14日、マンションや商業施設などの建設を認めない土地利用規制を条例化する方針を発表した。地区内にある国関連施設の売却が決まり、マンション建設の懸念が生じたのを受けたもの。「学術・教育機能を有する立地環境を保護する」ための対抗策としている。

 条例化を目指す内容は、同地区を「特別用途地区」とし、住宅や商業、遊技施設などの建設を原則禁止する。施設建設の際の敷地面積は1千平方メートル以上とし、売却による敷地の細分化を防ぐ。市都市計画審議会での審議などが必要だが、来年9月にも条例を施行したいという。

 文教地区は国道14号とJR京葉線に挟まれるように立地し、神田外語大や放送大学、県立幕張総合高校など15の学術・教育施設が並ぶ。市によると、問題となっているのは、うち独立行政法人雇用・能力開発機構(来年4月に廃止)が所有する研修施設「国際能力開発支援センター」(2.3ヘクタール)。国が同機構の廃止を決めたことに伴い、今年9月に閉館した。

 4月に閉館が公表されたことなどを受け、市には大手マンション開発会社5社ほどから、マンション建設を希望する問い合わせがあった。機構側はセンター跡地を入札で売却する方針で、11月5日に入札が行われる予定という。

 機構側はセンター跡地を文教地区から除外してほしいと要望したというが、市は「文教地区になじまない土地利用」であるとして認めない姿勢を崩さず、10月15日に入札を希望する業者に条例案を説明するという。

 現在の文教地区は大半が「第2種住居地域」という位置づけで、住宅建設についての制限は設けられていない。市は「条例は文教地区の環境を将来にわたり保護するもの。マンション建設を強く希望する業者が現れたら、趣旨を丁寧に説明して理解を求める」としている。